TaNA LABO
リベラルアーツ

February 22, 2019

ジャレドダイヤモンド
歴史

銃・病原菌・鉄の歴史から見る現代社会の歪んだ世界構造の理由とは!?

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13000年に渡る人類史の謎に迫る著者ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」。

著者が25年間、フィールドワークを通じて試行錯誤した考察が上下二巻にまとめられている。

現代世界では、ユーラシア大陸系の民族が世界の富・権力を支配(特にヨーロッパ人がアメリカ・オーストラリア・アフリカ大陸の51%を征服)した世界構造だが、その理由は未だに明らかになっておらず。

13000年の膨大な歴史を、二冊の書籍に収めるのは到底不可能だと著者も言われているが、あえてその難題に向き合った著者の分厚い本書を要約すれば、この発言に集約されるかなと思う。

歴史は異なる人々によって異なる経路を辿ったが、それは人々の置かれた環境の差異によるものであって、人々の生物的な差異によるものではない.

西洋の認知心理学者達は、アフリカ系アメリカ人がヨーロッパ系白人より、先天的に知能が低い事を示そうと奮闘するも、現代では人種による生まれつきの知能の差異は認められていない。

本書は一般常識として、知っておいた方が良い内容ばかり。

大型動物絶滅による影響

まずは特定地域での大型生物絶滅が、現代にどのような影響を与えたかの考察。

約4万年前、人類がオーストラリアに渡って以来、その土地に住む大型動物が絶滅。

大規模な旱魃など気候変動で死に絶えた説もあるが、著者曰くオーストラリアの大型動物は人間を恐る学習が出来ておらず、突然発達した狩猟技術を持つ人類に滅ぼされた説が有力。

ちなみにアフリカ・ユーラシア大陸の大型動物は現代でも生き延びているが、これは彼らが何百万年もの進化の過程を初期人類と共有したことにある。その間に人類は狩猟技術を磨き、また大型動物達も人類を恐るという学習をすることが出来たので、現代社会でもお互いに生き残っている。

しかし南北アメリカ大陸に人類が進出したのは約35000〜14000年前。オーストラリアにも大型動物(ゾウ、馬、ライオン、チータ)がいたが、同様の理由(人を恐れない)で大型動物達は絶滅。

POINT大型動物の絶滅は彼らを家畜として飼いならす機会を逃したことは大きい!

天然痘・麻疹・インフルエンザなどの伝染病は、元々動物に感染した突然変異。

家畜を持った人々は、新しく生まれた病原菌の最初の犠牲者になり、時間の経過と共に病原菌に対する抵抗力が次第に身につき、これはヨーロッパ人が新大陸に進出する上で大きな役割を担う。

POINT家畜を持つ事でユーラシア大陸の民族は、次第に病原菌への抗体を獲得!

なぜスペインの征服者ピサロはインカ帝国を征服出来たのか?

その理由は本書のタイトル「銃・病原菌・鉄」が答えで、天然痘、インフルエンザ、チフス、ペストなど疾病に免疫のある人達が、免疫の無い人達に病気をうつし、その後の歴史の流れを変えたから。

恵まれたユーラシア大陸

本書では肥沃三日月地帯、ニューギニア、合衆国東部の各地域を考察している。

特に肥沃三日月地帯では他地域に比べ、早い時期により発展した科学技術、複雑化した社会構造、他民族に感染しやすい伝染病に対する免疫力を発展させているが、なぜこのような差異が生まれたのか?

POINT入手可能であった野生動植物の差が原因で、人間の特性の違いが原因ではない!

どうもユーラシア大陸は色々恵まれていたようで、ユーラシア大陸には家畜化可能な動物が多かったり、また他大陸に比べて横長の地形なので作物の伝搬速度が早かった。

色んな理由があるが、同緯度帯の土地は、日照時間や季節変化のタイミング、分布植物の種類や生態系が似ている。気候が異なれば植物の発芽や成長、病気に対する抵抗力も変化。

植物だけでなく、我々人間も含めた動物もそうだが、生存環境の緯度の違いで異なる気候要因に適応しているので、気候の異なる土地への移住でその土地特有の病気に悩まされたりもする。それに付随して様々なもの(技術や文字など)も早い段階で伝搬。

このような事実から、初期のユーラシア大陸民が、他大陸の住民より創意工夫に優れていた訳ではなく、たまたま環境に恵まれていた(横長の陸地)と言える。

農耕文化に伴うヨーロッパからの贈り物

農耕文化は人類の発展に大きく寄与しただけでなく、病原菌にも同様の考察がされている。

狩猟民族は一ヶ所に定住せず、定期的に移住しているが、農耕民は病原菌や寄生虫の幼虫を含む自らの排泄物が近くの環境に定住。自らの排泄物を農地に再利用する者もおり、狩猟民族に比べれば、様々な病原菌と隣り合わせの環境にいることになる。

POINT病原菌は農業が実践されだし、とてつもない繁殖環境を獲得した!

またユーラシア大陸では、歴史上様々な都市国家が生まれ、交易も盛んに行われていたが、人や物資だけでなく、病原菌にとっての交易路にもなっていた。

天然痘、ペスト、麻疹、インフルエンザなどキリが無いが、次第にそれらの病気に免疫を持つ人が誕生、それから歴史が過ぎ、ヨーロッパ人が新大陸に降り立った時代。

現地の住民に比べ、優れた銃や鉄の剣を持っていた事は確かだけど、それによりもユーラシア大陸から運ばれてきた病原菌の犠牲になった人の方が遥かに多かったらしい。

西洋人の論理的思考や科学への追求は素晴らしいものがあるが、環境が人を変えると言われるくらい、生まれ持った才能より、生まれついた環境は人の今後の人生を大きく左右する模様。

– 銃・病原菌・鉄・上巻より。

今回は上巻を中心に書いているが、下巻は内容が重複しているので、読まなくてもいいかな。


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