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September 27, 2019

BtoCマーケティング
ユダヤ人

ユダヤ人の徹底したマーケティング術と歴史に裏打ちされた公理の数々

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昔読んだ瀧本哲史氏の「僕は君たちに武器を配りたい」では、漁師を例に儲かる人と儲からない人の違いを解説されており、今後エキスパート職の生き残りが難しい点に言及されていた。

大きな理由としては ここ10年間の産業スピードの変化が過去と比較にならない程に速く、積み上げたスキルや知識も社会ニーズの変化に伴い、陳腐化してしまう可能性が高い から。

特にソフトウェア産業における技術の隆盛は激しく、常に最先端を突き進む方、もしくは一からOS・言語を作れるエッジの効いた専門家は別にして、その他の大多数はコモディティ化に向き合わないとヤバくない!? と漠然とした不安を持ちながら生活されている印象。

正直本を数冊読んだくらいで解決するとは思えないけど、代替可能な凡人が限られた資産(主に時間)を何に配分して、どうリターンを得るのか…それを考える上で、ユダヤ人の商売哲学に触れる事は良いキッカケになるかもとの淡い期待でコチラを手に取ってみた。

内容としては学歴・コネ・金の無かった著者が、道端で拾ったバイクを売ったことをキッカケに、ユダヤ系商社に勤め、思考と実践と繰り返する中でマーケティングを学んだ過程の話になる。

マーケティングとは!?

そもそも マーケティングとは何か について、本書では以下のように定義されている。

POINTマーケティングとは「買いたい人を見つけて、モノを売ること」である!

どんな職種でも考えるべき視点の一つで、技術者ならどの技術を学ぶべきか(世の中的に需要があるか)、どんなWEBサービスを作るか(欲しい人はいるのか)を考える事ってことかな。

ただ 買いたい人を見つける のも、日頃からアンテナを張っていないと気づかないだろうし、単に買いたい人を見つけるだけでなく、想定出来るお客さんはどんなタイプで、どんなニーズがあるかを掴まなければモノは売れないので、素人感覚でもかなり難しい気がする。

結局何から始めれば良いのか!?

マーケティングのセンスを磨きたければ「身近な場所でどんなお店なら儲かるか?」ということを考えれば、仕事で役立つマーケティング思考・発想力が鍛えられると紹介。

■ 今自分が住んでいる町に、飲食店を作るなら何のお店が繁盛するか!?

■ その町のオーナーとしてビルを立てるなら、テナントには何を入れるか!?

■ 自分の住んでいる町に、ロイヤルホストとガストではどちらかが適しているか!?

ちなみに実際の業務で最初に考えるべきことは何だろうか?

POINTお客さんの困っていることを見つけ出し、そこに解決策を提案すること!!

例えば取引先に「今困っていることは何ですか?」と1時間ヒアリングすれば、10個くらいは答えが返ってくるので、それを改善できる開発スキルを学ぶのは非常に良いアプローチだと言われている。

商品自体の差別化が難しい場合

WEBエンジニア業界って10年前に比べて、無料学習サイトや良質な参考書も増え、GAFAのような大企業が技術知識の浅い人でも、簡単に扱えるようなクラウドサービスで開発でき、誰でもやる気次第でそれなりのレベルに到達でき、良くも悪くも楽に仕事が出来るようになった印象。

一部のスーパープログラマー等は別にして、中途半端なレベルの人達は、技術力単体での差別化が一層難しくなるので、それ以外で他者と差が出せるか、よく言われるのはスキルの掛け算、後は以前にホリエモンが居候なんだけど、何故か六本木ヒルズに住めている人の話はヒントになり得るか。

また商品自体で差を出すことも大切だが、商品自体に差が出せない場合はどうすれば良いか?

著者は2016年の電力自由化に伴い、電力会社を立ち上げられたそうだが、この電力会社ビジネスって、自社で発電所を作ったり、電線を各地に引くわけではない。

既にある送電線の使用料を払って「電気」という商品を売れるようになっただけなので(十分凄いことだが)かかる原価は変わらず、各電力会社間で商品自体の差別化(品質や価格)が難しい商売。

大企業は自社製品との抱き合わせ販売でシェア拡大も可能だが中小は無理。どこと契約しても値段は変わらない上、書類に目を通して手続きを踏むのも面倒なので、多くの消費者は電力会社を変えない。

著者は価格や品質の差で勝負出来ない状況で、電気を誰からなら買うのか、どういう人達ならば経費をかけずに、利用者を確保してくれるのか、そこにフォーカスして戦略的に地位を固めたとか。

POINT何とか商品を買わせるのではなく、誰からなら喜んで買うか?を考えてみる!

取り組みの一つとして、サッカーチームが電力を販売できるよう対応。クラブチームもスポンサーだけに頼らず、自社で自主財源を確保出来るし、結局どこかに払う電気代なので、クラブチームから電気を買えばファンもチームを応援することに繋がり、これは良いマッチングだなと感じる。

物を売るか、物語を売るか

この点は尾原和啓さんの ITビジネスの原理 でも、Amazonと楽天を例に似た話をされていた。

Amazonは商品ページのフォーマットが決まっており、合理的で無駄の省かれたシステムだが、楽天は店舗・商品毎に異なっており、売り手の商品に対する思いを詰め込むコンセプト。

確かにGAFAは大きな価値を生んでおり、合理性(値段・性能等)だけを追求しても、世界のグローバル企業には敵わない、更に企業間で過剰な価格競争が行われるなど危険性もあり、この点はミヒャエル・エンデの モモ の話を引き合いに「時間貯蔵銀行」で説明され、分かりやすかった。

合理性の追求(例えば床屋さんの散髪中の会話は無駄だから削除)をやり過ぎると、確かに効率的にはなるかもしれないが、あまりに無駄がなくなり過ぎると、ギスギスした社会になってしまう気もする。

ちなみに わび・さび阿吽の呼吸、根付(江戸時代に煙草入れや印籠を吊るして持てる様にする留め具[ストラップ]があり、これを個性にしていたらしい)の文化、数十年前のiモードにおける絵文字の種類を例に、日本人は細かい機微や言葉の余白・隙間を楽しむ民族性を解説。

これを ハイコンテクストな文化 と呼び、日本は2000年間、他国に侵略されることもなく、同一民族で同一文化、同一のコミュニケーション基盤を維持出来きたからこその文化。

逆にアメリカは移民国家、多民族、多宗教など歴史的な背景から、どうしても ローコンテクストな文化 となり、自分の前提条件や背景を言葉にし、主張を述べて合理的に説明する国民性が強いとの事。

ちなみに同書では、日本をコミュニケーション消費やハイコンテクストによる余白・余剰生産の先進国と評価し、インターネットの未来を先導できる可能性がある?と締められていた。

ユダヤ人と馴染みのある日本人

ユダヤ人の徹底したマーケティング話を聞いていると、彼らの民族性が気になった。

ユダヤ人と親交が深い日本人と言えば 銀座のユダヤ人 と言わた伝説の商売人・藤田田さんだが、商売のノウハウをまとめた ユダヤの商法 にも、ユダヤ人の徹底した商いぶりが描かれている。

世界経済をリードするユダヤ人には、経済活動に関わらず、生活全般に影響を及ぼしている経典・タルムードがあり、これには人間が生まれてから死ぬまでに遭遇するであろう事柄-生・死・戦争・平和・家庭・結婚・離婚・妻・子・祭・休日など、論理的な討議を編纂。

ユダヤ人は毎日タルムードを読み、書かれてある内容を自分の生き方に照らし合わせ、どう理解するか習慣化、また本書では人間がどうあがいても曲げられない 78:22の法則 や、ユダヤ商法が扱う商品は 第一に女、第二に口 と民族5000年の歴史に裏打ちされた公理の数々も紹介。

ただやっぱり一緒に仕事をするのは、ちょっと大変そうだ。


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